AIに反対されたこと、あります?
思い出してみてほしいんですけど、 AIに何か相談して、正面から反対されたことってありますか。 「それはやめたほうがいいです」と言われた記憶。
たぶん、ほとんど無いと思います。 どんな思いつきを話しても「素晴らしい視点ですね」から始まって、 どんな下書きを見せても、いいところを先に3つ褒めてくれる。 僕も毎日使っていて、明確に反対された回数は数えられるくらいです。
AIは、あなたの案が良いから褒めているのではなく、そういう作りだから褒めています。
AIは、人が「良い返事だ」と評価した会話を手本に育てられています。 で、人間は肯定的で感じのいい返事を高く評価しがちなので、 出来上がったAIも肯定的で感じのいい返事に寄る。 誰かが意地悪で設計したわけではなく、好かれる方向に育った結果がこれです。

褒める癖だけじゃない。同じ理由で、あと3つ
好かれる方向に育った結果は、褒めることだけに出るわけではありません。同じ理由で、あと3つ癖が付いています。知っておくと、返事の読み方がまるごと変わります。
| 癖 | どう出るか |
|---|---|
| 褒めすぎる | こちらの言い分に寄る。反対意見が出てこない |
| 長く答える | 一言で済む質問にも、丁寧に段落で返ってくる |
| 慎重すぎる | 実際は問題ない頼みごとを、念のため断る |
| 自信の見せ方がずれる | 自信たっぷりに間違え、合っているときに自信なさげに言う |
4つめがいちばん厄介です。言い切りの強さと、内容の正しさは、つながっていません。強く言われたから合っている、という読み方をしていると、そこで足をすくわれる。「その答え、ほんとに合ってる?」でやった確かめルールが、ここでも効きます。
気持ちいいこと自体は、悪くない
先に言っておくと、この全肯定が役に立つ場面もちゃんとあります。 落ち込んでいるとき、誰にも言えない愚痴を吐き出すとき、 とにかく手を動かし始めたいとき。 否定されない相手がいるのは、普通にありがたい。
問題は、それを評価だと受け取ったときに起きます。 褒められたから、この案はいけるはずだ。AIも良いと言っていた。 この受け取り方をすると、実際には磨かれていないものを、 磨かれた気分で外に出すことになります。
AIの褒め言葉は、応援ではあっても評価ではない。応援として受け取るのは自由。評価として使うなら、引き出し方が要ります。
毎回褒めてくれるので、自分の案はだいたい筋がいいと思い始めていた。
僕も一度、AIに褒められ続けた案を人に見せて、開口一番に弱点を指摘されたことがあります。へこみましたが、そこで気づきました。AIの「いいですね」は、喫茶店の「いらっしゃいませ」に近い。全員に言っています。
- AIが全肯定に寄る理由を、作りの面から説明できる
- 全肯定が役に立つ場面と、危ない場面の区別が言える
- 「応援と評価は別」の意味が分かった